
なお、表2から当該基金はIa型であるが、それとの絡みで以上のプロセスを検討するならば、やはり屋上屋を架すことになっているだろう(実態にあわせれば、I型がふさわしい)。 ところで、このような基金手法による地域福祉振興策の考え方は、東京都社会福祉審議会の「東京都におけるこれからの社会福祉の総合的な展開について(答申)」(1986年7月)のなかで、全国にさきがけて打ち出されたものである。そして、それは憲法89条(「公の財産の支出利用の制限」)に抵触しない制度的な工夫として注目されている11)。少し長くなるが重要な箇所なので引用しておきたい。 「地域社会を中心とした在宅福祉事業には、既存の補助金に適合させることが困難な場合があったり、あるいは民間の自主性を尊重することが望ましいなどの理由から補助金による助成がなじまない場合がある。実験的開拓的プログラムを促進し、地域の在宅福祉サービスを質・量共に向上させていくためには、自由な形での助成が大きな役割を果たす。このため、民間の資金をも導入した『地域福祉振興基金』(仮称)のようなものを設置することが考えられてよい、」’2) また、これを受けて、助成のあり方の具体的な検討、すなわち振興事業の具体的な事業内容が、「東京都地域福祉振興基金による助成のあり方について(中間のまとめ)」(東京都地域福祉推進計画等検討委員会、1987年10月、以下「中間のまとめ」)のなかで示されることになった。重要な点は、大きくふたつある。 ひとつは、「対象とすべき団体」について、原則として任意団体まで対象範囲を拡大したことである。そこでは、このように述べている。「法人化することが望まれるが、必ずしもそれを助成の条件とはせず、事業の内容に着目して判断すべき」’3)である。ただし、「法人格を有しない団体に助成するについては、地元の区市町村や区市町村社協と将来のあり方等にっき、事前に十分協議することが望ましい」14)等とする。 いまひとつは、助成内容に関して、基本的な考え方として「それぞれの事業に不可欠な基本的経費を助成し、安定的運営を確保していくことが必要」15)との認識を示している。そのため、「コーディネーター等常勤専門職員配置に必要な経費」「サービスの担い手のための経費(保険料、研修費用)」「事務所借り上げに要する経費」「初年調弁等機器整備」を例示として挙げている。従来からみると、それらはいずれも事業の所要経費の基幹部分にあたり、助成内容から除かれていたものであるが、今回から助成内容に含めること
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